「不器用」は強みになる
「不器用は、最後には器用に勝る」
習い始めのころ、師匠の吉田先生によく言われた言葉です。
器用な人は、教わったことをすぐに形にできます。一方、不器用な人は、何度やってもうまくいかない。だからこそ、考え、工夫し、繰り返し稽古します。その積み重ねが、やがて揺るぎにくい力になるというのです。
実は、私自身も合気道を習い始めた頃は、かなり不器用でした。
先生の説明を聞き、動きを一生懸命見ているのに、なぜか手と足がバラバラ。右と言われれば左が出て、手を出してと言われれば足が出る、投げるはずが自分のほうの自分がなぜか倒れている、組んでくださった先輩方には、ずいぶんご迷惑をおかけしました🤭
今思えば、よく皆さん、辛抱強く付き合ってくださったものです。
それでも、できないからこそ、何度も稽古しました。
「なぜ力が入るのだろう」
「どうすれば相手とぶつからないのだろう」
「落ち着いて動くには、どうしたらよいのだろう」
一つひとつ確かめるうちに、技の形だけでなく、心を静めること、力を抜くこと、相手の状態を感じることの大切さが、少しずつ分かってきました。
合氣道では、力ずくで相手を動かそうとはしません。まず自分の心と体を整え、相手と争わずに導きます。
うまくできないときに、自分を責めたり、慌てて力を入れたりすると、ますます動けなくなります。そんなときこそ、「臍下の一点に心をしずめる」「全身の力を完全に抜く」といった基本に戻ることが大切です。
器用か不器用かは、出発点の違いにすぎません。
少しくらい覚えるのが遅くても大丈夫です。今日できなかったことが、明日もできないとは限りません。むしろ、苦労して身につけたものほど、自分の中に深く残ります。
ですから、なかなかうまくできないと思っている方、初めての方も安心してください。
中山教室では、最初から上手にできることを求めていません。間違えても、よろけても、左右が分からなくなっても大丈夫です。私も、ひと通り経験済みですから🤭
大切なのは、比べることではなく、昨日の自分より少し前へ進むこと。
不器用さは、欠点ではありません。素直に学び、繰り返し続けることができれば、いつかその不器用さが、自分を支える確かな強みに変わっていくのだと思います。